東府中まで電車に揺られて行ってきた。
駅を降りて5分程度北へ進むと大きな公園に行き着く。その公園の中を通り反対側へ突き抜ける手前にこの美術館はある。
近代的な雰囲気を醸し出す非常にきれいな美術館だ。公開制作などの企画も行っていて、親しみやすい施設となっている。
そんな当美術館の今回の展覧会はこちら。
開館20年を迎えた今年、記念の展覧会をはじめとする催しを開く予定だったとのことだが、時勢の影響で大々的に敢行するのは不可能だということでそういった企画たちは来年に持ち越しになった。
その代わりに持ってきた企画が今回私が訪れたものになる。
今回の展覧会は先日の土曜日に始まったばかりで、11月23日(月・祝)まで続く。
一般入場費は500円となっていて、安めの価格設定となっている。
後述の通りいつも以上のボリュームになるのでこの設定は割安となっているが、美術鑑賞に損得の観念はないので、流石に1回3,000円!などと極端な価格設定にならない限り、高い安いの判断はこれ以上しないことにする。
府中市美術館は個人的に良く訪れる美術館で、毎度非常に見やすく丁寧な展覧会を行ってくれるのだが、本展は学芸員さんが変わったのか、それとも方針が変わったのか、はたまた準備の時間が不足していたのか、少し攻めた内容となっていた。
「線」という芸術の原点を出発点として様々な作品を紹介している展覧会であった。しかし、そのコンセプトの範疇がかなりの多岐に渡るものであり、少々意図がぼやけていた様に思える。
それでも各作品の持つ力は強く、そこに雑な様は一切見られない。これはもしかすると丁寧云々抜きにして「学芸員さんが見せたかった作品をこれでもかと配置しまくった様」という説が浮上する。
どうやら他所の美術館に所蔵している作品を一部貸し出している関係で、特設展の展示スペースがいつも以上に広げられており、そういったスペースを埋めきるぞ!という気合いのようなものを感じられた。その辺りもいつもと異なる表情を拝むことができた遠因になっているのかもしれない。
いつも以上のスペースが確保できた。それならば集められる魅力的な作品をここに全て集結させよう!と言った意図があり、ある程度当たりを付けたところで「線」という大まかなコンセプトを用意したのかもしれない。
前述の通り、ただ埋めたわけではなくひとつひとつの作品の魅力が十二分に伝わって来たので、いつも以上の作品数をいつも以上のエネルギーで伝えるということに注力したあまりにコンセプトが揺らいだか、もしくはコンセプトが後付けのようなものだったという可能性はある。
そんな感じでコンセプトという観点で見てしまうと少々心もとない内容ではあったが、一点一点に対するこだわりを垣間見ることができたという点が非常に面白かった。
某美術館密集地なんかでは作品や美術館本来のネームバリューや立地の良さを笠に着て好き勝手雑にやりくりしているところがあり、そんな場所へは余程気になる展覧会が開かれていない限りは近づかないようにしているのだが、本店からはそれと似た雰囲気を感じてしまった。
しかしそれらとは違うパワーのようなものも感じ取ることができたのは作品1点1点に対する愛故のものだろう。
それはひとえに作品の持つパワーが中心にあるからであり、そういった作品を選び抜いた学芸員さんの実力が発揮されているためだ。
コンセプトではなく作品が中心に据えられていた点は残念であったが、コンセプトがもっと明確になった時に作品の魅力がより引き出され、展覧会として更に魅力的な物へと昇華していくのは間違いない。
ここまで書いておいてなんだけれど、真剣にお仕事をされている学芸員さんをはじめとする本展の関係者の皆様に対してめちゃくちゃ失礼なことを言っている自覚はあるので、お気に触るようなら小市民の戯言だと思って聞き流して頂きたい。
府中市美術館は今後も要チェックな美術館のひとつだ。
行ってきた pic.twitter.com/k3JHM7yL1q
— 鷓鷺 (@syarokusuke) September 20, 2020
帰り際にパシャってみた。
府中市美術館
『日本の美術を貫く 炎の筆《線》』
良い展覧会であった。
しかし、この日はここでは終わらない。
久しぶりに美術館はしごをすることにしたので、この後は分倍河原駅まで歩き、そこから神奈川県を目指すのであった。
後編に当たる記事に続く!
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