『東京好奇心 2020 渋谷』を観て来た。
2018年にパリにて、2019年にベルリンにて開催された展覧会が遂に今年2020年に渋谷で開催されることになった。
元々は春の開催が予定されていたが、世の中の情勢を受けてこの秋の開催に変更されたとのことだ。
写真がメインの非常に迫力のある展覧会であった。
展覧会が奥へ進むほどに展示の濃厚さが増していく。冒頭のパートにて
個性が集まることで多種性が出現する
という旨のメッセージが掲げられていた。
ちょっと違ったかもしれない。
逆の言葉は良く見かける。みんな違ってみんな良い的な。
しかし今回はそういった良く見かける言説に真っ向からぶつかる説が唱えられていた。
1つ1つは異なる特別なものだけれど、それらが集まることで共通点や法則が見出されて行くというものだ。
単独で撮られている写真にはどこか緊張感が漂っているが、複数人で映っている写真には和やかな雰囲気が収められている。
しかし被写体がレンズに気付いていない場合は単独の場合でも”見つめられる緊張ではない”独特の空気が満ちている。
そしてそれぞれの写真は切り取られた点であり、そこに繋がる線というものもじっと眺めていることで見えて来る。人の動きや光の当たり方は時間の変化で変わる。人工的な光でもスイッチひとつで消える。常に存在し続けるということはない。そんな条件の下でたまたま揃った要素を1枚のレンズに収めると必然的にその場の空気をも閉じ込めてしまうことになる。
そんな空気を我々は写真を通して味わうことができる。
冒頭のそんなメッセージを胸に歩みを進めると、掲げられている作品に込められた意味もより深みを増す。そこにいる人の行動の動機や、その場を捉えようとした作者の意図を考えてみるとその作品の楽しみ方も広がる。
特に意味はなく「なんとなくきれいだな。絵になるな。」という動機でも構わないではないか。どことなく小奇麗に見えたりかわいらしく思えたりする瞬間があればそれはもはや芸術だ。
あなただけが受け取れる特別がここで待っている。
Bunkamura ザ・ミュージアムにて11月12日(木)まで。
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