不定期な日記帳の遺構

はてなダイアリーで運用していた「不定期な日記帳」の遺構の上に成り立つ2019年3月より再始動したメインブログ

この駅、深い!

”日本一のモグラ駅”というものをご存知だろうか。

 

 

改札からホームまで何段もの階段を下らねばならず、その下りにかかる所要時間は約10分とも言われている。

 

 

上りホーム(東京方面)は地上にあり、下りホーム(新潟方面)は地下にある。その高低差は81mにも及ぶのだそうだ。六本木駅のホームが地上から42.3mに位置するというのだから、その土合駅の高低差の凄まじさは歴然だ。

 

 

そういった経緯もあり、改札口が有人だった際は列車到着の10分前に入場が打ち切られていたのだそうだ。またエスカレーターを設置する空間が階段の脇に設けられているが、今の所エスカレーターを設置する予定はないとのことである。

 

 

文面だけ見てもわからないだろう。

 

 

 

 

このトンネル具合をこの目で!この足で!確かめるべく訪れてみた。

 

 

 

思い立ったのは金曜日の晩。土曜の朝イチで髪を切ってもらう予約を入れていたが、

 

 

それの終わり次第で出発すれば明るい時間に到着できるのではないだろうか?

 

 

という疑問がふつふつと沸き起こり、軽く調べてみるとそこそこ良さげな電車がある様子であった。

 

 

移動パターンは主に2通りで

 

 

・新宿から在来線と新幹線とバスを上手に乗りこなす

→昼過ぎに着く・6500円くらい

 

・新宿から在来線とバスで行く

→夜に着く・3000円くらい

 

 

という手段が目の前にあった。

高く早いか、安く遅いかのどちらかであった。

 

 

しかし意外なことに、物理的に進んで行くと新しい選択肢が出てくるということを経験的に知っていたので物は試しにとひとまず新宿まで出突っ張ることにしてみた。その結果、新たなる選択肢の創出に成功した

 

 

新宿→在来線→ちょっと新幹線→地元のバス→土合

 

 

というルートが出て来た。

お値段は約4000円でしかも到着は夕方前であり、明るい時刻に到着できることがわかった。周囲に何もないことはわかっていたので滞在時間は1時間もあれば十分だと信じて現地へと向かうことにした。

 

 

新宿→高崎

まずは在来線で向かうことにした。新宿で新幹線のチケットを購入しようとしたが長蛇の列が出来ていて、あんまりちんたらしていると高崎行きの程良い電車に乗り過ごしてしまうような気がしたので、みどりの窓口を後にしてさっさと在来線のホームへと向かった。

そして列待ちを回避したことで予定していた電車にギリのギリで乗り込むことができた

(尚、券売機にはお目当ての駅名は表示されなかったのでみどりの窓口を頼らざるを得なかったというわけだ。)

 

 

高崎では30分程余裕があったので、ここまでのSuicaの乗車記録を取り消して頂き、新宿から上毛高原駅までの切符と新幹線の切符の2種を購入することができた。

 

 

その後、改札口で上記2種のチケットを入れたところ1枚しか返ってこなかったので、

 

上越線特急券が返ってこない仕様なのか~

 

とまるで他人事のように軽く捉えた後、構内を簡単に物色して新幹線に乗り込んだ。もちろん新幹線に乗るのでスゴクカタイアイスをお供にチョイスした。

最近は新幹線構内のNEWDAYSでも販売されるようになったのでレア度が低まった分、より身近なものへと変貌した

 

 

高崎→上毛高原

ジョウモウコウゲンと読むらしい。これでまたひとつ賢くなった。この間は殆ど本を読んで過ごしたので車窓を見ることはなかったが駅に降り立ってみて驚いた。

 

 

外では雪が降っていた。

 

 

「トンネルを抜けると~」ではなく、駅のエスカレーターを下りてみると窓の外が真っ白けだったので驚いた。横浜で初雪!北海道で豪雪!などの情報は入って来ていたが、まさか同じ関東でこんなにも雪が降り積もっているとは・・・という感じであった。恐るべし群馬の山中・・・。

 

 

上毛高原土合駅

白銀の世界に見せられた私は早く雪に触ってみたい!という思いから改札を抜け出ようと手持ちの1枚の切符を機械に通したところで改札の両翼に激しく拒絶された

 

 

ですよね~という感想しかなかった。

 

 

高崎の改札のところをもっと良く見ておくべきだったのだ。

 

 

そんなわけで駅員さんに領収書を見せながら事情を説明すると乗車時間や切符の購入時刻などを詳しく聞かれた。可能な限りの全てを説明した。駅員さんも””通してあげたい信用ムード””を漂わせてくれたが、そこは流石に駅員さんだ。高崎駅に問い合わせまでしてくださる始末。お仕事を増やしてしまい誠に申し訳ない。

 

 

こちらも何か領収書以外に示すことのできるものはないかと考えていたら改札に入れる前に2枚の切符を撮影していたことを思い出す。目的の駅に到着すると二度と戻ってこないことを知っているので、予め2枚の切符を携帯に収めておいたのだ。すかさず電話中の駅員さんに画像を示す。しかし意外にも高崎の駅員さんとは順調に連絡が取れたようで、私のものと思わしき切符が高崎の駅員さんの元に届いていたらしく、携帯の切符と合わせて無事に無罪が証明されることとなった

 

 

そんなこんなでバタバタとしたもののバス停は駅の間近だったこともあり無事に定刻通り土合駅を目指せるのであった。

 

 

上毛高原~土合

雪!旅館!そして雪!と言った感じ。観光地なのでお客さんも自由に乗り降りができるシステムらしく、バス停ではないところで自己申告の元で下りて行くお客さんが何名かいらっしゃった。逆に普段はバス停ではないところで乗って来られる方もいらっしゃるとのこと。通常はそのような対応を行うことはできないが、観光地では特別に路線上であれば途中での乗り降りが認められるとのことであった。

 

 

どうしてそんなことを知っているのか。それはバスの運転手さんが放送で解説をしてくださったから。観光地ならではのイベントであった。

 

 

そんなアナウンスを聞きながらもバスはどんどん雪山の奥深くへと進んで行く。最初の頃は旅館も散見されたが、次第に旅館の数は減っていく。それでも至る所に温泉を示す看板が立っていたので雪で見えにくかっただけでそこらかしこに宿はあったのだろう。さらに途中の大き目の駅に着くとスキーの装いをした方々が乗車されてきた。

 

 

スキー→宿という冬の土曜日ならではのコンボをキめられているのだろう。実に楽しそうで羨ましい。

 

 

その後もバスは奥へと進んで行き、次は土合となった頃には乗客は私一人となっていた。運転手さんからは

 

どちらまで?

 

と和やかに尋ねられたので

 

ドアイ?ツチアイ?です!

 

とあたふたと宣言したところ

 

ドアイですね!

 

と返って来たので私は一生この漢字の読み方を忘れないであろう

漢字こそ以前から知っていたものの、目指している当日ですら読み方がふわっとしていたのだ。旅なんてそんなものである。知らんけど。

 

 

そうこうしている内にバスは土合駅にたどり着いた。周りには何もなかった。

 

 

遠くに山が見える。駅舎がある。以上!

 

 

のような感じ。厳密には民宿っぽいものはあったけれど雪が深すぎて良くわからなかった。民家っぽいものも見えたような気がするけれどあんまり自信がない。しかし何はともあれ土合駅に着いた私は早速駅の中へと進んで行くことにした。

 

 

土合

遂に着いた日本一のモグラ

駅の待合室には10名くらいのお客さんがいた。家族連れ、おじいさんたちのちょっとした集団、そして大学生と思わしき若者たちが屯していた。

待合室を抜けると左右両方に通路が続いていて、右に抜けるとすぐそこの所に駅のホームがある。このホームは東京方面に抜けるものであり、私がこれから乗る予定の列車がやって来る。

 

 

そして左側が念願のモグラホームである。新潟に抜けるホームはここを進んで行けば辿り着くのだが、その途中には歩いて10分はかかると言われている階段がある。

 

 

マジで先が見えない。

 

 

段の高さはそれ程高くなく、また高さは統一されていたので一見すると大したことはないように見えるが、実際に下ってみるとそれなりにしんどいものがあった

 

 

しかし下りの所要時間を測ってみると、写真を撮りながらのんびり下りても7、8分程で地下のホームにたどり着くことができた。思ったよりも優しかった。

 

 

地下のホームには待合室ビールの醸成室お手洗いがあった。待合室には様々な貼り出しや寄せ書きノートが数冊設置されていて、観光客の憩いの場のような体裁になっていた。無名YouTuberやインスタグラマーのURLから、不要なレシートなどがはっ付けられていて「THE・観光地の暗部!」と化していた。オタクと不良の嫌なノリの融合だよね。

 

 

ビールの醸成室はあまり見ごたえのあるものではなく、あくまでも保管用として空間を利用しています感が強かった。ここで作っているというよりも気温が変わりにくい空間をちょっぴり活用しています的な要素が前面に出ていた。しかし何はともあれ風情があって個人的にはかなり好みの空間となっていた。

 

 

お手洗いについての特筆と言えば、手洗い場の蛇口の水が流しっぱなしだったこと。閉め忘れか、はたまた凍結防止か。理由は定かではない。

 

 

ほんの10分ほどで下りホームを堪能することができたので、その後は階段をせかせかと登った。

 

 

流石に辛かった。

 

 

ちょっと急ぎめかつなるべくノンストップを意識して駆け気味で登ったところ、5分足らずで上部に達することができた。しかしそんなこともあり流石に足が震えた。普段運動をしていない人ならばかなりきついだろうなという距離、高さであった。割にしんどかった。

 

 

そんなこんなでちょろちょろと観光しつつ上り下りで一往復するなどしていたらあっという間に45分が過ぎ去った。気持ち駅にはもう一往復してみたかったけれど、途中で疲れ切って電車に乗り遅れた嫌だと言うこともあって列車が来るまでの残り15分はぶらぶらし直すことにした。

 

 

駅の中には宿泊できそうな施設があったり、簡単なカフェが併設されるなどしていたが、恐らく両方とも閉業中であった。Twitterで普段の様子を探ってみたところ、丁度昨日までは雪など積もっていないどころか降ってすらいなかったということが判明した。つまり来るタイミングを外していれば今回のような雪景色に出会えることはなかったのであろう。そう考えると中々に運命的な出会いを果たしたと言える。そんなこんなをしている内に列車がやって来たので適当に帰ることにした。

 

 

土合→高崎

今度は在来線で高崎を目指すことにした。山中はしばらく雪が続き、高崎エリアに突入した途端に雪景色が消え去った。ようやく関東平野に帰って来たという実感を得た。そして列車は何事も問題なく高崎へと戻った。

 

 

高崎→新宿

乗り過ごしたり、電車が遅れたりなどすれば諦めるつもりでいたが、無事に定刻通り高崎に辿り着き、後は新宿までの高速バスを見付ければ良い所まで来た。

 

 

実は帰りについては高速バスが丁度良い時刻に存在することが判明していたので、安くてそれなりに速い移動手段である高速バスを利用することにした。

 

 

大きい都市は大体バス乗り場が親切だと相場で決まっているので何も考えずに高崎駅前のバス乗り場に出てみると、どこにもバス乗り場についての案内が書いていなかった。バス乗り場までは順調に出ることができたが、新宿方面のバスがどこから出るのかがどこにも書いていなかった。しかもバス乗り場が結構広いと来ているので、進む方向や探す方向を誤った途端にお目当てのバスに乗り遅れる可能性まで浮上し始めた。

 

 

ひとまず落ち着いてネットで探してみると、東京方面のバス停は左手にぐるっと回った端っこにあることが判明した。実際に移動をしてみるとこれから東京に帰るんだぜオーラを放っている人たちが大量にいた。他の行先については人が集まっていることはなかったが、東京行きは異様な気配を醸し出していた。

(単に近い時刻が東京方面のバスしかなかったのかもしれないが)

 

 

それはさておき、事前予約などはしていなかったが無事にバスに乗ることができ、新宿へと舞い戻ることができたのであった。

 

 

この駅、深い!

 

 

 

出禁のモグラ(1) (モーニングコミックス)